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山科精器株式会社 訪問記
報告:藤浪 市郎(M40年卒)
山科精器竃{社・工場
<山科精器梶@本社・工場>

今回、「工学部学友会」立入会長のお世話で、滋賀県立大学工学部 支援会に加入して頂いた栗東市の山科精器(株)の本社・工場を訪問しました。
 山科精器(株)は、FA化に貢献する各種専用工作機械、船舶用並びに発電プラント向の熱交換器、産業機械・船舶機関向潤滑器および医療機器の製造販売をされている中堅企業である。
 今回の会社訪問は、滋賀県立大学工学部機械システム工学科3回生の学生諸君のカリキュラムとしての工場見学の扱いでもあったので、見学者が65名の大勢であった。
 2班に編成、大日社長の講演と、工場見学に分かれた。工場見学はさらに2グループに分かれ、工機事業部(石田部長)・熱交事業部(山下フェロー)・油機事業部(奥田部長)・メディカル事業部(大八木G長)の4事業部を各ご担当者の説明・案内で順次見学させて頂いた。
 対応頂いた大日社長、各事業部のご担当者、管理部石嶋課長には大変お手数とご迷惑をお掛けしましたが、周到に見学スケジュールを立てて頂きスムーズに有意義な見学をすることが出来ました。

日 時: 2013年7月4日(木)14:00〜16:10
場 所: 山科精器株式会社 本社・工場(〒520-3001 滋賀県栗東市東坂525番地)
参 加:
・滋賀県立大学 工学部 機械システム工学科 3回生学生 52名
・滋賀県立大学 工学部 教員; 安田教授、南川教授、大浦准教授
・湖風会 就職支援委員会;柳沼勇多委員
・「工学部学友会」(敬称略);立入、国領、林、山添、谷川、松下、長谷、藤浪、吉田   以上 65名
■ 会社概要
商    号 山科精器株式会社 Yamashina Seiki Co., Ltd  http://www.yasec.co.jp/
主な沿革
  • 1939年(昭和14年)(株)山科精器研究所を設立、マイクロメータの製造を開始
  • 1949年(昭和24年)社名を山科精器株式会社と改め、邦文タイプライターの製造開始
  • 1958年(昭和33年)ブロックビルド方式による専用工作機械の商品化に成功し、可傾式バレル研磨機と同時に販売開始
  • 1962年(昭和37年)ダイキン工業(株)との業務提携が成立
  • 1963年(昭和38年)ダイキン工業より水中ポンプ・ボッシュ型注油器の製造・販売権が移管され製造販売を開始
  • 1965年(昭和40年)エレメント型注油器のダイキン工業より移管と高圧注油器の自社開発で潤滑機器メーカーとしての基礎完成
  • 1968年(昭和43年)滋賀県栗東町に栗東工場を新設し、注油器・循環給油装置ならびに各種熱交換器の製造を開始
  • 1977年(昭和52年)本社工場として近江工場を完成し、山科工場・栗東工場を本社工場に集結
  • 1980年(昭和55年)船舶エンジン全機種の排気弁研削盤を開発、商品化に成功
  • 1983年(昭和58年)マシニングセンタ−・NCフェーシング・多軸オートヘッドチェンジャ・ターレックス等、F・M・Sのニーズに合わせた機械開発に成功
  • 1987年(昭和62年)大型熱交換器(コンデンサ)を製作開始
  • 2000年(平成12年)本社工場および営業所 ISO9001認証取得、中央研究所を開設
  • 2002年(平成14年)高速U軸センターの開発に成功 日・米・韓・EU 特許
  • 2003年(平成15年)船舶用舵のテーパ穴の中ぐり加工機の開発に成功、日・韓・中 特許
  • 2009年(平成21年)メディカル事業部発足
  • 2011年(平成23年)医療機器製造クリーンルームM3工場開所、薬事法による「指定管理医療機器製造販売認証書」を取得、ヤセック吸引嘴管(しかん)の製造を開始
資 本 金 100,000千円 山科精器 事務所
山科精器 事務所
所 在 地 本社・工場 〒520-3001 滋賀県栗東市東坂525番地
事 業 所 大阪営業所、東京営業所、九州営業所、バレル分室
子 会 社 (株)ヤセック高知
     (弁棒・弁座研削盤、注油器等の部品加工及び組立)
   〒781-3521 高知県土佐郡土佐町田井979
従 業 員 131名(うち大卒65名、修士7名、博士1名)
年   商 38億3200万円(平成25年3月期)
主な製品 【工機事業部】       
 ・横中ぐり盤タイプ NCフェーシングマシン
 ・高速NCフェーシング(U軸センター)
 ・V6シリンダーブロック加工用トランスファーマシン
 ・アクスルハウジング加工用NCフェーシング機
 ・クランクシャフト加工用5軸マシニングセンタ
 ・溶接用R面取り加工機 等々
横中ぐり盤タイプ:NCフェーシングマシン
【熱交事業部】
 ・潤滑油冷却器
 ・清水冷却器
 ・空気(ガス)冷却器
 ・加熱器(清水、タンククリーニング海水)
 ・凝縮器(真空式、大気圧式)
 ・グランド蒸気復水器
 ・空気抽出器
 ・自動燃料油切替装置 等々
潤滑油冷却器
【油機事業部】
 ・各種注油器
 ・グリースポンプ
 ・分配弁
 ・電磁式タイミング注油器
 ・可傾式バレル研磨機
 ・排気弁棒研削盤
 ・排気弁座研削盤 等々
エレメント型注油器電磁式タイミング注油器(特許出願中)
【メディカル事業部】
 ・疑似血液
 ・ヤセック吸引嘴管(しかん)
 ・内視鏡用洗浄吸引カテーテル
 ・内視鏡用マイクロ波デバイス(研究開発中)
 ・細胞分離装置(研究開発中)
内視鏡用マイクロ波デバイス
見学及び講演内容        <上記の写真はHP、会社案内から掲載>
A;工場見学―工機・熱交・油機・メディカルの4事業部を夫々約15分、各事業部のご担当者から説明を受け見学させて頂いた。
【工機事業部】
  1. 工機事業部で生産・販売する工作機械は、基本的に客先ニーズに特化したブロックビルド方式による自動化専用工作機械であるが、その他多軸加工機や深穴加工機、高精度ボーリングやラインボー リング機、フェーシング加工機、高速U軸機等高効率で汎用性のある工作機械を生産されている。
  2. 同社の特徴ある技術として、二重偏芯式高速U軸センター(特許)がある。旋削が出来ないワークや遠心力で歪が出るようなワークの加工の場合、工具回転で加工しなければならない場合がある。この場合加工形状によって工具の径方向の移動(U軸制御)による加工が不可欠な場合がある。近年刃具の進歩により素材によっては1,000m/minを超える切削速度で加工する場合もあり、こんな場合では主軸の回転数が5,000rpmにも達する。
    工具を径方向に移動しアンバランス質量が発生すると、その遠心力で精度剛性が保たれなくなる。
    同社の二重偏芯式では工具軸は旋回せずに第一偏芯軸と第二偏芯軸が互いに逆方向に旋回することにより工具軸が偏芯量の4倍の距離を直線移動するものであり、各軸間の動バランスを取って、しかもそれらの重心平面を一致させておけば重心が一切移動せず、遠心力の影響を受けないものである。(現物のデモで説明を受ける。但し安全のため回転数は落としてあった。)
  3. 最近開発された、鋼板R面取り加工機が好評を得ているとのことであった。
    これは船舶国際ルール、PSPC規制により面取り部分は「2R」と明確化され、現在以上の塗装の均一化が要求されることから、需要が高まっていることによる。
【熱交事業部】
  1. シェルアンドチューブ式の熱交換器で、用途は冷却・加熱・凝縮である。 同社での販売先は80%が船舶用で、残りが陸用であるとのこと。
  2. 船舶用の場合の冷却媒体は海水となるので、チューブ、管板等にはそれに耐える材質が採用されている。
  3. チューブと管板の接合部は、2MPa以下の低圧のものは、特殊工具で管端を拡張(エキスパンド)し圧接する方法を採用されている。高圧のものでは溶接をする。
  4. 熱交換効率を高めるため、チューブ表面に転造で螺旋フィンを形成し表面積を増して、装置の小型化を図っている。
  5. 熱交事業部では熱交換器以外に、船舶用に燃料のC重油とマリン・ガス・オイルとの混合比率を自動調整する自動燃料調整装置も商品化されている。
【油機事業部】
  1. 油機事業部では、船舶用ディーゼルエンジンのシリンダとピストンリングの間に潤滑油を供給する注油器を始め、潤滑油やグリースを供給するポンプを生産されている。その構造は定量プランジャーポンプである。
  2. 潤滑油の使用量を節減するため、ノズル部の形状に工夫を加え横方向に拡散したり、新製品として電磁式タイミング注油器が商品化されている。 これは、従来エンジンの回転から給油機ポンプの駆動をするのではなく、ソレノイドを駆動源とし例えばエンジンピストンの2〜3ストロークに1回給油するようなきめ細かい電子制御が可能となるものである。   
  3. 油機事業部では、注油器以外に可傾式バレル研磨機や、船舶エンジンの排気弁棒・弁座の研磨機も生産されている。
【メディカル事業部】
  1. 産学官連携により9年前から研究に着手し、2009年に事業部を発足させ、2011年にISOクラス7のクリーンルームを開所し、ヤセック吸引嘴管(しかん) の製造を開始した新規事業である。
  2. ヤセック吸引嘴管は外科手術の折、臓器から出血や体液が分泌したときそれらを吸引する際使用される器具である。同社の特徴はパイプの先端に径0.2mmの毛が多数集まったハケがついていることである。このハケが臓器表面に吸引跡が付くとか、臓器を損傷することを防いでいることである。
  3. 内視鏡手術の際、患部に洗浄液や染色液を噴射したり、また、それらの液を吸引するカテーテルも開発され商品化されようとしている。(洗浄吸引カテーテル・・・エンドシャワー)    この先端部は直径0.4mmの微細口径の穴が24個明けられているが、バリの影響を避けるためインジェクション成形で生産されている。
B;代表取締役社長 兼 CEO 大日 常男氏の講演

 「世界の中の日本、これからの日本に必要な学生とは」〜〜私が現代の若者に伝えたい事〜〜との演題で、これから職を得て職に就かんとしている学生諸君に対し、大日社長の人生経験や経営責任者としてリーダーシップを発揮して企業を、社員を牽引してこられた中で感じてこられたことで若者に伝えたい事をお話しされた。

纏めとしては、以下の通り。
  1. 目的と目標を明確にすること。
    講演の大日社長
    <講演の大日社長>
     目的とは、追求すべき精神的・質的なもの。形ではない。
     目標とは、目的を達成するために設けた的、物質的・数量的に見え    るもの。
     目的と目標の違いを確認して判断の基とすること。    
  2. 自分の将来像に向かって、強い意志を持つこと。
     道に迷った時、先が見えない時、自分にとって厳しい道を選ぶこと。
  3. 日本の若者は世界のリーダーとなるべく倫理観、道徳観を鍛錬し、クリ エイト・創造力と人間性を高めること。
     日本人としての誇りと自信を持つこと。
     礼儀正しさは日本人の誇りであったハズ。
     これからの日本はどんな仕事でも、人の和、共創、オールハイテクジャパンで成功を得る。
     ただし強力なリーダーの元。 
     人が好き、人と交わることが好きな人間になれ。人の和は会話が基本である。
     リーダーとは先のイメージ・想像出来る能力、そしてそこから未来をクリエイト・創造出来る能力が必要   である。 と締めくくられた。
    含蓄に富むお話を聞き学生諸君は、これから立ち向かう人生に貴重な道標を得たことと思います。
所 見
  1. 山科精器(株)を訪問し、会議室に案内される間にお会いした社員の方々から「こんにちは」「いらっしゃいませ」と気持ちの良い挨拶をされた。大日社長が講演の中でお話しされていた人の和の基本は会話である、礼儀正しさは日本人の誇りであったはずというお考えが実践として社内に根付いて素晴らしい社風を形成していることに感心しました。意識有る行動の継続が習慣になると言うが、まさにそれレベルまで達しておられると感じた。
  2. 山科精器(株)は“私たちは先進の技術で広く人類の発展に貢献します”という経営理念を掲げられている。やがて操業75年を迎えられようという歴史のある会社であるが、常に新技術の開発に注力され、その製品にキラリ光る独自性を発揮されている。その根底には、ユーザーと密にコミュニケーションを取り真のニーズを正しく把握されていることがあるのではと感じた。
  3. 今まで会社が蓄積してきた生産設備や販売ルートから離れた医療機器という新分野に進出されている。産学官連携がキーワードとは言いながら、投資を回収するまでの期間が長い、当然リスクも伴う。新分野への進出には勇気ある経営判断を必要とするが、まさに大日社長のリーダーシップが発揮された事業であろうと感じた。更なる発展・成功を祈念いたします。

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対応して頂いた社長、各部長と参加の皆さん
<対応して頂いた社長、各部長と参加の皆さん>
対応して頂いた社長、各部長と参加の皆さん
<対応して頂いた社長、各部長と参加の皆さん>
講演の大日社長
<講演の大日社長>
工機、熱交換器などの製造工場
<工機、熱交換器などの製造工場>
工場見学から戻られる皆さん
<工場見学から戻られる皆さん>
工場見学・講演後の質疑応答
<工場見学・講演後の質疑応答>
立入会長の挨拶
<立入会長の挨拶>
立入会長の挨拶
<立入会長の挨拶>

今回の山科精器(株)の会社訪問では、65名という大勢の見学を受け入れて下さいました。事前に周到な見学スケジュールを立て、円滑に見学をさせて頂きました。
 その為に、大日社長には約50分に及ぶ講演を2回、また各事業部のご担当者には同じ説明を4回もして頂くことになり、大変なお手数をお掛けしたこと対し、改めて御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

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